第3回ソーシャルブックマーク研究会に参加してきました
なんだか以前のエントリから大分時間がたってしまいましたが
第 3 回 SBM 研究会に参加してきましたので感想を書きます。
実は第1回SBM研究会にも参加を希望していたのですが、
諸事情あって参加できなかったため、今回が初参加となります。
第3回SBM研究会のスケジュールがFIXしました!
http://toremoro.tea-nifty.com/tomos_hotline/2009/08/3sbmfix-6bbd.html・第3回SBM研究会プレゼン資料
http://toremoro.tea-nifty.com/tomos_hotline/2009/09/sbm-ee63.html□日時:2009年9月13日(日) 10:00〜18:00
□場所:東工大大岡山キャンパス
これまで私が参加してきた勉強会は比較的都心部のシャレオツな場所での開催が
多かったのですが、今回の場所は東工大ということで、ちょっと郊外?的な位置。
大学に入ってすぐ、目に飛び込んでくる「2011、東工大は130歳です。キミは?」
という看板がインパクト大w
dankogai がブログにうpしていた謎っぽい写真の意味が明らかに!
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51288546.html
もはや勉強会実況は Ust & Tsudaる のが基本!?
開場についてまず後悔したのが、PCを持ってこなかったこと。
数時間あるし、電源がどのぐらい確保されてるかわからないので、
メモ書きで別にいいかと思ってPCを持ってこなかったのですが、
開場では電源が十分な数確保されていて無線LANもアクセス可能という
素晴らしい環境が用意されていました。
で参加者の大半がノートPC持参というスタイル。
もう勉強会といえばみんな twitter で Tsuda るのが当たり前みたいな
空気なんですなー。
各発表の勝手な要約と感想
0.はじめに
最初に主催者の西谷さんより、「SBMはアーリーアダプターが使っている状況。どうやったらキャズムを超えられるか」
という今回のテーマ?的な warenosyo 的なお話がありました。
確かに、自分のまわりでも SBM を使ってるのはかなりネット好きな層に限られていて、
SE 職の同僚ですら使ってる人間なんてほとんどいなかったり。
SBM はまだまだキャズムを超えられていない・・・。
1.「エコメンデーション」
発表者:佐々木さん、上村さん(東工大)
・SBMが普及しない理由はメリットが見えないこと
・でもリンクを羅列するまとめサイトには需要がある
・ブクマ間を関係タグでつないで「ソーシャルまとめサイト」を作ろう
・「エコメンデーション」→レコメンデーション+エコ
計算量をできるだけ減らすために、Normalized Cut というアルゴリズムで
木構造を作る
感想:
確かにまとめサイト的なものは結構必要とされてるかも。
自分もはてブを使う前からまとめWikiなどは結構読んでたし。
2.「SBMの推薦アルゴリズム 〜はてなブックマークのレコメンドの仕組み〜」
発表者: 岡野原大輔さん(プリファードインフラストラクチャー )
・はてなブックマーク2で実装された「関連エントリー」推薦アルゴリズムの解説
・Reflexa (Bayesian Setsの改良)を使った複雑な数式計算の解説
・大規模なレコメンドデータを主記憶上に設置し、圧縮+Locality Sensitive Hashで処理
数式がよくわからなかったが、内積を使っているので、コサイン類似度などに近い?
・サーバ一台で数千万〜数億件を処理可能だそうだ。凄い。
・ただし、このアルゴリズムだけで純粋に関連エントリーが生成されているというわけではないらしい
感想:
サーバ一台で動いているというのがとにかく凄い。
「関連エントリー」は自分も結構クリックするし、精度も高いと思う。
とは言え類似性が高いエントリーを推薦しているという点で、
「このエントリーを含むエントリー」との差別化があまりできていないような気もしますが、
それははてな側のサービス提案の問題でしょうね。
もうちょっと変わったものが出てくる推薦方法というのも面白いかも。
3.「SBMはミニブログです」
発表者:福冨 諭さん(Webプログラマ)
・はてブの個別コメント「URL、タイトル、コメント、タグ」
・twitter の個別コメント「コメント、URLを書くこともできる」
・はてブは検索に強く、twitterは検索に弱い
・検索性に強いミニブログとして、はてブにダミーURLを入力して、
コメント欄をミニブログとして使用する「はてバーぶろぐ」を開発
・naoya 絶賛www
感想:
twitter は検索性が低く、はてブは検索性が高い。
はてブ検索できるから便利というのは確かにその通りで、
自分もあとで検索できるから、とばかりにブクマしまくってるものの、
twitter の発言はその場限りのもの、という認識なので、
ミニブログ的なつぶやきはから別にあとから参照できなくてもいいや、
と思ってるのですが、この辺はサービスを使う人次第でしょうね。
4.「SBMを利用したフィッシングサイト検知とその展望 −集合知セキュリティという考え方−」
発表者:中山心太さん(NTT研究所)
・SBMに登録されたURLを元に信頼性を判定し、フィッシングサイトを検知するというアイデア
・SBM向きのサイトが増加、SBM利用が促進されるようになる
・ただしこの方法がメジャー化すると、フィッシングサイト側もSBMを利用するように
・フィッシングサイト側もURLが登録されることになるので、ブラックリストが作りやすくなる
→どちらにせよ黒判定
感想:
URLの正誤を判定する方法に使うという発想はなかった。
とは言え、例で示されていた通り、マイナーなサイトだと
そもそもブクマされていなかったりするので、
地銀などのフィッシングサイトを防ぐのは難しそうです。
5.「言語表現に基づくブックマークコメントの分類とフィルタリング」
発表者:山田 剛一さん(東京電機大)
・SBMは熱いか→話題は twitter に
・利用者はまだ少ないものの、コメントを認知している人はいる
・コメントをフィルタリング可能か調査
・「意見・感想」と「引用・要約」を構文解析などで判定
感想:
SBMを使わずに見るだけの人が多いというのは意外で、
見るだけなら使ってしまえばいいのに、と思ってしますのですが、
自分も 2chは ROM 専なので、読むだけ、という人も多いのでしょうか。
そういう人をユーザー側に引き込む誘導線があるといいかも
6.「LivedoorClip おもしろ大改造」
発表者:mala さん(Livedoor)
・はてブ2で実装されたWebHookや、LivedorBlog、Livdedoor Reader が対応した PubSubHubbub について
・LivedoorReaderが PubSubHubbub に対応したことで、
・リアルタイムに更新されていくフィードを確認することができる。
・LivedoorReader自体はシンプルにつくり、他のサービスと連携
・WebHook や OAuth を使って連携の可能性が広がる
感想:
Webのリアルタイム更新と複数サイト間の連携が広がりそう。
WebHook、PubSubHubbub、OAuth の技術はチェックしておいた方が良いかも。
7.「ブックマークサービス普及のためのユーザーインターフェース(UI)」
発表者:島津悠樹さん(ヤフー)
・Yahooユーザーの中でYahooブックマークを使用しているユーザーは2%
・Webメールの 40 % にと比較して、明らかに少ない。
・UIデザインにはアフォーダンスが重要
※アフォーダンスとは
・アイデア
・時系列の概念を持ったブックマーク
・すご録のようにキーワードで一括してブックマーク
・日常生活からの比喩などを取り入れて、アフォーダンスを高めた設計が必要
感想:
SBM研究会で UI の話はこれが初ということでした。
いかにキャズムを超えるかを志向するならば、
UI に関する考察はより重視されてもいいかも。
アイデアとして示された、時系列のBookMarkは著作権の問題や、
Web魚拓的な使われ方がされそうで実装は難しいかな、という印象を持ちました。
8.「SocialDict - 英文Webページのスマートな注釈・辞書引きシステム」
発表者:江原 遥さん(東京大学)
・「英単語を推薦したらどうなる」
・SocailDict→自分の知らない単語の訳を推薦してくれるサービス
・GAEに判別器を実装して判定
・GAE:スケーラビリティの確保、アカウント登録をGoogleアカウントで代用
・モデル:TOEFLなどで使用される項目反応理論を使用
・結果:80 % の精度で当たる
・学生の卒論にGAEは最適
感想:
知らない単語を推薦してくれると英語力の弱い自分としても
ありがたいところだけど、単語ごとに色分けされたり、
英文の中に訳が混じってるのも見づらいかもしれない。
その辺は UI のデザイン次第でしょうか。
9.「oneclip - Twitterでソーシャルブックマーク」
発表者:大澤 昇平さん(筑波大学)
・以前SwimmieというSBMサービスを運営していた
極力ブラウザのブックマークに近いSBM
→ForeFoxアドオン→ForeFoxアドオンはそもそもはてブユーザー→マーケットにマッチせず
・Oneclip -URL短縮・RT・アクセス解析などを実装したSBMサービス
・見ているWebページをブックマークレットを使って twitter に投稿
・Webページがクリックされた回数やRT回数を確認
・今後はAPIを提供していきたい
感想:
ブックマークレットやWebページへのオーバーレイ表示、
短縮URLにアクセス解析、とtwitterへのURL投稿に
特化サービスという印象。
twitter へ投稿されたURLのクリック率は 5 % とかなり高いらしい。
全体の感想:
SBMはまだまだ一般人にはリーチできていない。
また、手軽な投稿サービスとしては、twitter に話題を奪われている状況にあるという印象です。
その中で様々な利便性向上の提案がなされた、というのが今回の提案の印象です。
レコメンデーション技術やPubsubhubbubなどの話題の技術について話が聞けたのは、
非常に面白かったのですが、個人的にはキャズムを超えるためのアピールを目指すなら、
UI 関連の話についてももっと聞いてみたいと思いました。