映画「レッドクリフ Part1」を観た

レッドクリフを観てきました。

レッドクリフ
http://redcliff.jp/index.html


それにしても公式HPの「各界から絶賛の嵐」って凄い「各界」だなw
http://redcliff.jp/comment/index.html


ここしばらくTwitterをやる余裕も無いほど忙しく、
テレビもニュースサイトもチェックできないぐらいで、
せいぜい帰宅してからはニコ動の時事ランキングチェックして、
はてブの注目のエントリを流し見のがやっとです。


そんなわけで、突然友達から「レッドクリフ観に行かね?」とメールが来ても「なんだ、ハリウッドの新しい冒険映画か?」というぐらい無知な状態でしたw
しかも劇場でポスター観たときも「え、韓国映画だったのか!?と思っちゃったしw」
さらに間違ってるw


この映画は前後編に分かれていて、
これはPart.1だということもチケットを買うときに知りました。


そんな無知な上に、上映前にエイベックスとかTV局とかの製作テロップ
が出るものだから、観てる途中も日本主導の日中合作作品なのかしら、
とかそんな風に穿った目線で観ておりましたよ。


監督がジョン・ウーだというのは後で知りましたとさ。


で、映画の内容は上記の通り、日本映画じゃないかと疑うほど漫画的なわかりやすい三国志映画だったわけです。
マジで日本人が脚本書いているのかと疑ってた。
(この映画の字幕は中国映画なのに何故か戸田奈津子担当で微妙になっちテイストが漂います)

  • 少年漫画的


まずストーリーは劉備荊州から逃亡する辺り、超雲が亜斗を救う所から始まります。
で、この冒頭から「これ日本人が撮ってんのか」と思わずにはいられませんでした。


というのも、


・キャラ立ちを意識しまくり(見た目からして分かりやすい)
・三国無双並みに武将一人で皆殺しにしまくり


だからw
もう完全に漫画かというレベル。


もうとにかくあらゆる有名武将が日本人のイメージ通りだし。
闘いはディフォルメされてて武将の武力=100、雑兵の武力=10だから、1対10が許される世界。
でもちゃんと監督もジョン・ウーで、脚本も中国スタッフなのです。
でも考えてみると、中国の三国志西遊記水滸伝、封神演戯なんかは
日本でも少年漫画のモチーフになってるし、
日本の少年漫画的価値観の遠い祖先は中国にあるのかも。

  • 三国志を映画で語ることの難しさ


しかし、この映画には三国志を映画化することの難しさがはっきりと現れています。


三国志はご存知の通りの大河ドラマであり、
普通に全てのストーリーを映像化すると数十時間は軽く超えるでしょう。


だから、せいぜいパート分けできても三部作が限界の映画と言うカテゴリでは、全10時間以内で物語を語ろうと思うと、前後の端折りや、映画的見せ場へのフォーカスが必要。
というわけで、見せ場を赤壁の戦いとするのは悪くない選択だと思います。


ただし、赤壁をクライマックスにするには前半部分のストーリーをカットする必要があります。
このため、桃園の誓いも三顧の礼もカットされています。
これらエピソードがカットされたせいで、劉備はそれほど魅力的な人物には見えません。


また、曹操もただの権力と女に妄執する薄っぺらな悪役となっています。


これでは、かっこよく活躍する超雲や孔明あたりにしか感情移入もできなくなります。


そこで、映画では三国志作品としては珍しく(私が無知なだけ?)、呉の人物に大きくフォーカスをあてています。


孫権周瑜です。


孫権は偉大なる父と兄のコンプレックスにさいなまれながら、優柔不断な態度をとる青二才という分かりやすい役回りです。
彼が劉備と同盟を組み、曹操との戦う、という決断の姿を見せることで、若き孫権に感情移入させやすいストーリー構造にしてあります。


また、彼をサポートする周瑜についても、諸葛亮と同等の人物として大きく扱われいます。
確かに三国志の展開的に、赤壁の戦いを舞台とするのであれば、戦いを決意する若き孫権と兄役の周瑜に対し、美女小喬固執する憎き孫権という構造がスマートで一見さんにも理解しやすいですよね。
でも、三国志を読んだことがある人間なら、「三国志ってそれだけじゃないよ」って思うはず。


これも映画という枠に三国志の長大なストーリーを収める難しさというやつですね。
水滸伝も映画化は相当厳しいでしょうね。

  • 以上をまとめると、消化不良。


結局三国志を映画でまとめるのは難しい、ということに尽きます。
特に戦闘シーンが長く、ストーリーも中途半端。
しかも戦闘シーンも武将が1人で50人殺しするってな具合だから、リアリティもないし。


面白いのは孔明の罠と戦争で使ってる小道具でしょうか。
ああいう小道具って本当に使ってたのかな?